「ウォルト・ディズニーの約束」感想



これはこの邦題にならざるを得なかったと思うのですが、作品が一番伝えたかったことは原題に集約されています。
『SAVING MR. BANKS』

『メリー・ポピンズ』の映画化を頑なに拒み続ける原作者と、何が何でも映画化したいウォルト・ディズニー。
交渉にも長い時間をかけ、いざ映画作りが始まっても衝突が繰り返される中、私たちにも見えてくるもの。
原作を映画化するとは、いやもっと本質的に作品を作るということは?
創作者は一度観といた方がいいと傲慢なことは言えませんが、漫画家田中ユタカの「作家が死に物狂いで作品を描き続ける理由。「子ども時代の自分」を救いにいかなければならないからです。」という言葉に共感を覚える方は観て頂けたら、と思います。
書き手としての自分とキャラクターの距離は、人それぞれです。
ミスター・バンクスを救うことだけが物語の主題ではない。
でも全力でキャラクターに向き合い、傾けた力の全てで物語を紡ぐ、その苦しみの先に救済を突き抜けて歓びにさえ至る、これは作り手の、私たちの幸福ではないかと。

涙腺が弱いのでだいたい泣くのですが、れりごーでも泣いていたのが、こっちはもう滂沱でした。
原作者のトラヴァース夫人が出来上がった曲に合わせてダンスを踊るところはね、涙が出て止まらなかったよ…。
泣きながらこっちも幸せなのね。

映画のエンドロール、製作会議で本当に録音された音声が流れるという演出でした。
『フォース・カインド』もこんなだったなあ。むこうは不気味だったけど。
でも不気味にしろ、今回にしろ、結構好きな演出かもしらん。