「父は家元」感想



主役は家元である父ですよ。
髪に白いものがまじるお歳なのですよ。
しかも武家茶道の世界でございましょう。
観に行くわな。

今回映画が追いかける遠州茶道とは武家茶道、つまり野に広がらなかった分、当時の作法などがそのままに残る茶道なのですね。
美しいというのは理に適った行為なのだ、とは茶道に触れた時も思ったけど、まさしくそれです。
無駄というより雑味がない。
日本橋ヨヲコの漫画『少女ファイト』の頭の方で「雑な生き方をしているな」とかいう科白があったと思うのですが、一挙手一投足、その所作一つ一つが美しい理の中にあり、生きている感、日頃なんと考え無しに自分の手足を扱っていることか。

伝統を守りつつ、更に革新的であるのも遠州茶道であり、高層ビルの最上階に作られた茶室の趣だけでなく、一番スゲエと思ったのが(まずここで言葉選びのセンスを問いたいが、本当に「スゲエ!」と思ったからそのまま書く)、天井の梁? わたされた竹の中にLEDの電灯が仕込んであるのね。茶室だから剥き出しの電球とかは避けたい。しかし屋内に作られた茶室なので、どうしても光量が足りない。そこで考えられた方法というか、家元が出したアイデア。
光る竹ですよ、あなた。
かぐや姫の世界ですよ、あなた。
電気が消えている時はただの竹なのです。
室内の景観を壊さずしてこの趣向…これから先、更に伝統が進化すると思うと茶道の未来にわくわくした。

映画全体の感想は、学校で見るような清く正しくスタンダードなドキュメンタリー映画だったなあ、なんだけど、遠州茶道を知れば知るほど奥深い。
久しぶりに抹茶とお菓子買って来ようかのう。