「ミレニアム・ドラゴンタトゥーの女」感想 スウェーデンで書かれたミステリの、スウェーデンでの映画化。 その景色も、その言語もスウェーデン。 スウェーデンの本気。 罠に嵌められたジャーナリストと、魔法のように情報を引き出す女ハッカーが挑むクローズドサークル・ミステリ……と言うには道程が艱難辛苦。とくに女ハッカー、リスベット・サランデルの人生は。 そもそも原作から「スウェーデンでは女性の十八パーセントが男に脅迫された経験を持つ。」なんて書かれていて、こんな形で知りたくなかったよスーさんの威圧感の原因…と思わなくもなかった。 とにかくリスベットがジャーナリストのミカエルと何とか出会って、二人で事件を調べ始めるまでが、辛い。本当に辛い。女ならずんどこ落ち込むだろう辛さ。実際、暗い気持ちになりつつ、リスベット頑張れ、いや頑張れと言うのも可哀想、とか思ってたのに、リスベットは自分で何とかしようとするから涙が出てくる。最初は、タトゥーに鼻ピアスにパンクは衣装のこの女の子を好きになるのか?と思いますが、世界中の読者がファンになったのもうなずけます。 ミステリとしては、確かに素晴らしくて、意外な真相もなかなか意外で尚且つ腑に落ちるもので、イイハナシダナー……と言いたかったのですが、更に明かされた真相で、イイハナシカナー?と首を傾げてしまう、これもスウェーデンクオリティなのか、それともミステリではよくある話か。やはり人が死ぬからには、背後に潜む関係や事実というものは相応に重く暗いものではあるのです。 でも、うん、イイハナシ…ダナー…。 最終日、レイトショーという状況下で観にいって、エンドロールになると続々と帰る観客。結局、エンドロール終了後の特報、ミレニアム2の映画化について見たのは私だけでした。それにしたって、リスベットの悲鳴かな、それが辛くて、正直恐かったんだけど、広い映画館に一人きりって。 |