「サマーウォーズ」感想 栄さんが電話をする場面から決壊した涙腺は最後まで治りませんでした。 数ヶ月ぶりの映画体験に、そして9月の始めの気持ちのいい水曜日に 映画を観に行くならば映画らしい映画を観ようと思った。 「映画」を観たいと思う時に、この作品は間違っていない。 細田守作品で唯一観ているのは劇場版ワンピースの「オマツリ」ですが、 雑誌の評か何かで、日常や崩壊を描くのが上手いとかいうような 書かれ方をされていたと思います。 「オマツリ」では特に後者を上手く見せつけられましたが 今回の「サマーウォーズ」にはその両方が揃っている。 立体感を影ではなく、動きによって表現しようとする、という細田監督。 今回、最初に涙腺が壊れたのは、キング・カズマが 初めてラブマシーンと戦う場面でした。 あの動きとあのスピード。 身体が痺れて、口があんぐり開いて、涙が出てきた。 自宅と職場の往復という生活では味わえない興奮。 そして現実世界の佳主馬もまた、とても格好良かったのです。 日に焼けたほっそい身体で音楽聴いて汗流してクールで そんな少年が私は好きだ! 男の人が格好いいんだ、この映画! 侘助も好きなのですが 理一! 理一おじさんの格好良さはガチ! 万作さんとこの消防士三兄弟とかどうしてくれよう! それどころか、ナイスミドルの上の世代の万作さんとか万助さんとかも 格好良いんだよ! あのラブマシーン打倒作戦のところは、惚れた、痺れた。 くあああああああああ! 食事風景など、一家集合している時の一人一人の仕草や動きも 一人一人がらしく動いていて、何だか愛しい。 そう、一人一人生きている人間の描き分けというか これが制作物である以上、意図して、意識して描き分けるしかないのだけれど まるで、それぞれの人間があの中で普通に生きているような自然さ。 動の場面でも。 そしてあの広い日本家屋の陰影から夏空を見上げた静の場面でも。 この映画を観たら、八月の真っ盛りでも夏が終わっていたかも知れない。 夏が終わってから観た。 だから、今、終わった夏が心置きなく、いとしく、懐かしい。 |