「崖の上のポニョ」感想



ストーリーを魅せることは二の次にしたんだなあ。
否、ストーリーをアニメーションとモーションで見せたのか。

正直、ポニョが好みじゃなくて、途中
「あれ、気が強くて、我が儘なヒロインって私が一番苦手なやつじゃね?」
と思い、何でそれ分かってるっぽいのに見に来たんだろう、とか
思ってしまったけれども、それはパヤオさんがセルアニメでやるっつったから
見に来たんだよ…。

とかく、動きというか、画面が良かったですよね。
最初から最後まで、とにかく画面が綺麗で、動きが気持ちよくって。
ポニョが魚の波の上を走ってそーすけの車に追いつこうとするシーンの
疾走感ったらない。
多分、私たちが、自分で運転しない車や、その他交通手段に乗って
外を眺めた時に感じる、実際以上の疾走感というものを
まったく具現化してる感じだ。
ああいう風に元気いっぱいスピード全開で走るのって、
心の奥の願望にあるんじゃないんだろうか。

オチは押しかけ女房だった。
ああ、あの後どうするんだろう。

パヤオさん、「もののけ姫」の後から、凄くハッピーエンド指向になったよなあ。
あれが転機だったのは分かる。
おこがましいけど、ハッピーエンド指向になった気持ちみたいなの、
分かる気がするんだ。
かつてリボーンで「シトロエンの孤独」を書いたことが、私の転機となったように。
重ねるのは、あの大家を前に、ほんと、おこがましくはあるんですけどね。

「千と千尋」が作品的にすごく成功しているのは、あれが昔話やおとぎ話を
ベースにしていて、それをパヤオさんが熱心に研究したからですよね。
物語のエッセンスたる作品。
勿論、その後のハウルだって原作あるし、今回のポニョは人魚姫がベースだから
それにパヤオさんってこれまでもたくさん作品を作ってきている人だから
私が言うのも何だけど、でも、もうちょっとストーリーに力入れたら
もっと良かったのになあ。

ハッピーエンドって、作るにしろ、観るにしろ、読むにしろ、
なんというか、難しいですよね。