「ハプニング」感想



予告編を観た冴瑠斎が「アメリカは何故こうも宇宙人に敵愾心を抱くのか」と
言っていましたが、今回は宇宙人ではありませんでした。
でもあの予告の作りはうまかったなあ、恐怖心を煽る感じで。
んで、本編の作りはどうだったかというと、『レディインザウォーター』での
がっかり評判を返上、シャマラン監督手腕挽回でした。
バッドエンドでしたが。

植物の逆襲、というテーマは、西村寿行『呪医−ウィッチ・ドクター』を萌えの書と定める
私にとって非常に食いつきのよいテーマでした。
んで、それがバッドエンドになるのも、分かる。
どうしたって人間は警鐘を鳴らしてやらなきゃいけない存在だし、
あの映画の展開だって、植物に対しては対抗手段は持ち合わせておらず、
また語りかけもなく、逃げの一手しかなかった訳だから、
いきなり植物が攻撃の手を止める訳がない。
でも、この映画は広久を登場させてもよかったと思うんだよなー。
グリーンフィンガーを持つ救世主、植物と人間の橋渡しをする人間。
その存在が植物に傾倒しかけても、でも最後はハッピーエンドにするような
映画にしてもよかったと思う。
だって、これは映画なんだもの。

最後に主人公夫婦に赤ちゃんが出来たのはいい終わりだったけど、
それだけでは、あの不安感は拭えない。
まあ、ホラー系の映画だったら、あのエンドくらいがちょうどいいんだろうけどさー。

さて、自己防衛の本能が消失し、自死に至る時、そこに何があるかが問題だ。
急な空白の直後、あまりに静かに、当たり前のように死に向かう。
やめてよね、と思ったのは芝刈り機。
でも一番壮観だったのは、やはり首吊りだった。
首吊りって自殺の手段としてはよくあるけれども、あの光景の、
芯からぞっとさせる感じ、芝刈り機よりも心に残る。

後味は不安になるし、途中まで正体の知れないあの恐怖感とか、
何よりも様々な自殺のオンパレードは痛覚の記憶にくるものがあるけれども、
割といい映画だったよなあ。
でも続編作って欲しい。グリーンフィンガーを持つ少年を出して。
それでは、あまりにも楽観的な映画に堕してしまうか?