「46億年の恋」感想



三池監督の作品は駄作か傑作の二つに一つだと、誰かが言っているのを
聞いたことがあります。
で、正直な話、これをどちらかと判ずることは難しい。
毎度のごとく、毎度と言うか前回「さくらん」の時だけではありますが
安藤政信が出演すると、それだけで贔屓目が出てしまうので。

映画全体的には、あー三池かー、という感じだし、
三池がドッグヴィルみたいな手法で撮ったらこうなるのかー
みたいな感じだし、その辺はあまり文句のある出来ではなかったし。

ミステリとしての出来はどうかと言うと、
実は自分が高校生の時に書きたかったような話と展開が似ていて
きちんとやると、こういう風になるのかなあ、とか。
あの、誰が殺したのか、誰に動機があり、誰に機会があり、誰が凶器を持ち
一体誰が犯人なのか、という混迷した展開。
山口雅也の「解決ドミノ倒し」みたいな。

原作の「少年Aえれじぃ」も読んでいないし、
安藤くんという若干の贔屓目はあるものの、
この作品を人にお薦めするかしないか、という観点に絞って善し悪しを考えたら
そう悪い作品じゃないんじゃないかなー、とは思うのだけれど。

多分、全体的に流れている雨上がりの夕暮れみたいな淡いオレンジとピンクの
混じった色彩が好きなんだ。
ああいう、熱っぽく湿った空気や、蒸し暑さの中で汗の数を一つ一つ数えて
眠れぬ夜を過ごすようなイメージが嫌いでなければ、90分の映像体験としては
悪くないと思うのですよ。

少年同士の愛というか、そういうテーマに関しては、
結局関係には至らなかったけれど、ああいう受け攻めの関係は個人的にツボでした。
攻に決定的・致命的トラウマっぽいのがあるところとか。
受の方が、ちょっと精神的優位な面を持ち合わせていたりとか。
なんだかんだで受を守る攻だの、ぼんやり明るい夕方の景色の中で会話をするだの、
日記とかで「ツボなんや…」って言ってるのばっかりだもの。

冒頭の、男になるための儀式には正直、吃驚しましたが。