「さらば、会いの言葉よ 2D版」感想



これ3Dだったらもっと物凄い体験になってたと思うけど、自分の脳が耐えられたかどうか。
初めて見るゴダール作品がこれとはハードルが高かっただろうか?
いや、そんな考えは必要ないと思うね。

言葉が頭の中で意味を構築しない。
それは私の頭が自分を傷つけないパターンの内に膠着して思考をしなくなったからだ。
試行しなくなったからだ。
スクリーンに映っていたものは、常に斬新。
常にパターンを裏切り、パターンを見せ、破り、傷つける。
だがラストシーンで、それまで散々引き裂かれた心に触れた裏切りは?
ありきたりな悲劇のパターンを裏切り、かつて映画で繰り返されてきた黄金色の可能性を裏切る、一匹の犬という実体。
だがその姿も、その景色も、安心を与はしない。
この裏切りは?
未経験。
新鮮。
これが何なのか私は知らない。
それが与えられた、この映画から。

ヤマシタトモコの『Love,hate,love』の中で主人公と恋人が夜中にゴダールを一気観していたが、それは心中行為のように今は思える。
おそらく満天の星空に包まれるがごとき幸福の毛布で包んだ心中行為だろうと想像する。