陽気な女衒が裸で笑う







「これと、これと、これ」
 蒲団の上を色気もない指がさす。
「女」
 京都の形相に怯まぬのは、この女の蓄えてきた力故だろう。三百年。この地からあらゆる命は号された。海を閉じ、土地を境し、家を潰し、啖ってきた女だ。
「いいじゃあねえか、愛人くらいよ」
「悪くはない、が」
「何が気に入らねえんだ。お下がりって訳でもねえんだぜ」
「厄介払いと違うのか」
「直截な言い方だなぁ。てめえ、本当に京都か?」
 女はけらけらと笑い、まあ抱いてみりゃあいいじゃねえか、と蒲団の上に横になった。
「役に立つぜ。どいつもこいつも腕っ節は折り紙付きだ」
「品のないのにうろうろされたら困ります」
「もう困ってるんじゃねえか。下品も下品、うようよいらあな」
「キミは、随分と品が良ろしい」
「よせやい」
 女は嬉しそうに蒲団の上を転げ回り、煙管から飛び出した煙草を、まだ奥が赤く燃えているのをものともせず抓んで火鉢に放り、わずかに焦げた蒲団にはふっと一息吹きかけ、起き上がると膝を叩いた。ぱん。その軽やかな音。
「さ、やろうじゃねえか」




しゃさんの県擬の二次。